オッサンはきっとその駅で降りたかった

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 はい、今週は何を書こうかなーと悩んでるぼっくりです。面白いものを書こうとして書いたものは、そんなに面白くないんだなぁ、と気付いたんですわ。たぶん、面白いものってのは脳ミソで考えたものじゃなくて、実際そこらへんにゴロゴロ転がってるもんなんだと思う。きっとそうなのだ!!んだんだ!
 そう気付いてから、まあその、そこらへんに転がってる面白いモノとやらを注意深く観察するようになった。そんなとある日のこと。

 その日は渋谷で就職先の内定式があったので、京都から東京へ新幹線をぶっ飛ばしてた(俺が運転してたワケじゃないけども・・・)。訳あって内定式開始に1時間も遅れそうなので焦って会社に連絡したりでソワソワしていた。東京駅に着いてすぐ山手線に乗り、渋谷へ向かう。車内は満員で、チカンに間違われないためにオッサンどもは両手を天井に向かって高々と挙げている、そんなくらい満員だった。
 その列車はゆっくりと、俺の知らない駅にたどり着いて、「ふぃしゅぅ」と音をたててドアを開いた。その時見てしまったんですね、待ちに待ったその面白い光景とやらを!はぁはぁ・・・
 俺の隣にいたオッサンが、開いたドアの隙間に、小脇に抱えたセカンドバッグを見事に挟まれてしまいアタフタしているのだ。「お見事!!」と車内のどっかから聞こえたような気がしたのはたぶん気のせいだろう。というか、俺が脳内で「お見事!!」と叫んでいた・・・。しかもそのオッサンはその駅で降りたかったらしく、そのアタフタ具合も見事だった。
 しかし、挟まったセカンドバッグを力んで引っ張りすぎたあまり、「み゛っ」と鈍い音をたててバッグの端のほうの縫い目が少し裂けてしまったようだ。オッサンはそこで引っ張るのを諦め、静かになった。俺はそーっとそのオッサンの顔に目線を運んでみた。
 するとなんと!そのオッサンは「俺べつにこの駅で降りたかったワケじゃないけんね、ちょっとバッグ挟まれちゃったけど、べつにどうってことないけんね俺」といった、えらく澄ました顔になっているではないか!さっきまで肩を小刻みに震わせながらセカンドバッグを必死に引っ張ってた人の顔じゃない・・・あっぱれ東京の働くオッチャン・・・。と、隣のオッサンに妙に親近感を覚えながら、俺は渋谷で下車した。

 渋谷に着いてからも少し迷い、内定式の会場にはやっぱり1時間近く遅れて着いてしまった。不可抗力ということで許してもらったが、すみませんでした・・・。
 内定式に集まった同期の仲間らはみんなひとクセある面白い面々ばかりで、喋っててとても楽しかった。先輩社員さん達がみな口を揃えて「今年の内定者は元気だ!!」と言っていたのが印象的だった。そんな元気な内定者が今夜は揃ってホテルニューオータニに泊まる。すると・・・予想通り、飲んで飲んで大宴会の様相となった。俺も生ガキや豆腐とネギの関係について熱く迫り、結局寝たのは朝の5時だった。
 次の日も渋谷にて社員研修があった。寝不足や二日酔いも関係ない活気で研修は夕刻終了、また全国各地それぞれの棲家に皆戻っていった。
 京都駅に着いてからその足で友達の家に向かう。今晩はその友達の家に泊めてもらうのだ。缶チューハイで乾杯し、その友達オススメの特濃プリンを食べて就寝。翌日、俺のDJ活動再開最初のイベントを、この友人と主催するのだ。そのイベントは成功とはいかなかったが、まあでも、なんとか終わった。

 そうそう、平日に友達と日本海に行った。出発が昼過ぎだったので、海に着いたのはもう夕方近かったから特になにもできなかったけど、岩にはりついてるニイナという小さな巻貝をいっぱい取って帰った。これ、塩茹でして食ったらすごい酒の肴にピッタリなんですわ。貝殻からちっちゃい身を爪楊枝で引っぱり出してポロッと口に放り込むと、口の中にほんのり磯の香りが広がって、ついついパクパク食ってしまう、けっこう淡白やけど後ひく味ってやつです。

 あ、また後半いつものモッサリ文調になってしまった。けど別にいいよね、いいよね。