ついてる日

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 近々引っ越しをする予定なので、引っ越しに必要な書類を集めに、仕事の休日を利用して京都に帰った。
 快晴だ。とても穏やかなきもちで京阪電鉄と叡山電鉄を乗りつぎ、実家のある岩倉へ。まず区役所で住民票と印鑑証明をもらい、そして実家に向かった。比叡山がやさしく迎えてくれている。とても落ちつく。

 のんきにゆっくり歩いていると、突然「ぱしゃん!」と頭になにか降ってきた。いやな予感がし、上を向くと、やはりそこには鳥が。ハトであった。そして降ってきたのはフンであった。
 ついてない…。いや、ついてる…。

 できるだけ人に会いそうにない道をえらんで家についた。すぐ頭をあらう。
 頭をきれいにしたらヒマになったので、ダッチョの実家に行くことにした。もうダッチョは家を出て別のところに住んでいるので、弟たちと遊ぶのである。
 いつものように玄関をくぐり「おじゃましまーす」と言って部屋にあがると、リョウがいた。リョウはいま中学三年である。受験生のリョウを強引に外に連れだし、路上でリフティング合戦をして遊んだ。ボールを蹴りながら、最近の楽しかったことなんかの話をする。リョウは最近友達といっしょに鹿児島の甑島に行って遊びまくったそうだ。そんな話をしているうちにボールは道のはじっこのほうに転がっていき、それをひろいに行ったとき、なんとも懐かしい感触が足の裏に伝わってきた。べったりと、靴底に犬のウンコがついていた。
 ついてない…。いや、ついてる…。

 それを見てリョウは「もうボール蹴らんといてや」と言い放った。

 1時間ほどリョウと遊んだあと、ナガチャンの家に寄ってみた。ナガチャンは同級生。さいきん転職したばかりなので、転職祝いにどこかメシでも食いにいこうと思ったのだ。ナガチャンはジャージで出てきた。岩倉ではみんなジャージで行動するのだ。それでいいのだ。

 自転車でちかくの居酒屋「楽」に向かう。そこは落ちついた造りの創作居酒屋で、魚がおいしい。どこか呑みにいこう、となるとまず俺はこの店に行くことが多い。
 平日なので店内は空いていて、掘りごたつの席に座れた。あまり金は用意してなかったので、ビールとチマチマつつけるアテをたのむ。お互いボソボソと最近の話をし、そして2時間くらいで早めに店を出た。

 チャリにまたがろうとしたとき、俺の目はペダルに釘付けになった。なんと、ペダルのギザギザのうえにコッテリとさっきのウンコがこびりついていたのだった。