今更ながら「日曜日っていいな」と思うのだ。土曜日なんかは、目覚めた瞬間「せっかく土曜日なんだから何かせねば」という気持ちに追われて、なんだか気が休まらない。でも日曜日は「明日からまた平日やから今日はゆっくりしよう」と思える。誰にも会わず、何も予定を入れず、ただ1日を自分のペースで過ごせるのが日曜日だ。
日曜日がオフなのはオカンもオトンも変わらない。オトンは昨日の朝から社員旅行で仙台に行ってて、オカンも今日は仕事が休みだ。ということでオカンは朝早くから「溜め込んでた韓国映画を見る!」という姿勢を貫き、今日は家事なんて知らん!という感じでテレビのある居間に篭ってしまってる。日曜日気分でのそのそと起きてきた俺は台所で「う~ん」と唸った。電気釜には昨日の残りの冷や飯が少し。同じく残りのカボチャの煮つけが少々。味噌汁がないのだ。朝一の冷や飯にはやっぱり、残りの味噌汁を熱々にしてその冷えた飯にドバッとかけて食う、という黄金コースを思い浮かべてた俺の考えは打ち砕かれた。お手軽な永谷園のお茶漬け「さあお湯をかけたらできあがり」というコースも頭に浮かんだが、それじゃあ平日と変わらんじゃないか。うーん、としばらく考え込みながら永谷園のインスタントお吸い物にお湯を注ぎ、いつの間にかそこにいたケンタ(柴犬4歳無職)の顔を見ると「そんなのどっちでもいいから早く散歩散歩」と言っていた。ばかやろう、日曜日の朝食は大事だ!と、目で言い返し、とりあえずカボチャの煮つけを温めた。
昼から俺も部屋に篭った。今日は朝から雨がしとしと降ってて梅雨の頭の時期をおもわせる匂がする。こんな日に部屋の窓を全開にして本を読むと気持ちいいので、ずっと本を読んでる。テレビやオーディオのリモコンも手の届くところに置き、傍らにはビールがあり、おつまみにはさっき茹でたばかりの枝豆。部屋にはインド音楽とかアンビエント系の音楽が小音量で流れてて心地良い。よいではないか。
ビールを飲んだせいで無性に小便がしたくなり部屋を出ると、そこにまたケンタがいた。どうやら廊下の風通しのいい場所を陣取り昼寝していたようだ。ムクっと顔を起こし「ん、散歩の時間か?」と言っている。いや、違うぞ、俺はただ便所に行くだけだ。朝の散歩はしっかり行ってやったではないか。
今日は妹がクラブ活動で遅くなるので俺が夕方の散歩係もやらなくちゃいけない。雨の日の散歩は面倒だ。
オカンに「あんたは若者の着ぐるみを着たオジイチャンやな」と言われたけど、俺の居心地のいいペースがジイチャンペースなのは否定できない。でも、よいではないか。