リポD

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 いま、沖縄の別荘でこれを書いてます。こっちはもうすっかり夏です。なんて言ってみたいけど、残念ながら京都の自宅でこれを書いてます。蒸し暑いですわ。

 ぼーっとしてるうちに腹が減ってきた。腹が減ると動きたくなくなる。できればずーっとここでじっとしていたい。けど、じっとしてるだけでは絶対に腹は満たされないし、腹の鳴く音もだんだんバカでかくギュールギュルぐおぉーとウルサクなってきたので、仕方なくモソモソと冷蔵庫まで這っていく。ズリズリとたどり着き、冷蔵庫の奥から鮭フレークを引っぱり出して、アツアツのごはんにかけて食った。ほどなく腹は鳴き止み、また退屈な時間が迫ってきた。暇すぎてソワソワする。とりあえずそのままソワソワしてると、部屋に一匹のハエが飛び込んできた。なかなかデカイ。しばらくそいつの行動を眺めてたけど羽音がすごく耳障りなので、ベッドの下に転がってる空気銃で打ち落とすことにした。
 ぱしっ!ぱしっ!と撃ってみるけど全然当たらない。数発も撃つとタマがきれてしまった。たかがハエ一匹に苦戦してるのが悔しかったので、押入れから空気銃のタマをさがすことにした。でも空気銃なんて中学生のときにちょっと遊んだくらいなので、タマの在り処もはっきり覚えてない。ごそごそ奥のほうまで探してるうちにいろいろ懐かしい文集やら卒業アルバムなんかが出てきて、空気銃のタマ探しはそっちのけになった。

 幼稚園生くらいの頃のアルバムなんかも出てきて、うわぁーとか言いながら見てると、変な写真を発見。3~4歳ぐらいの俺が「リポビタンD」のビンを握りしめてる写真だ。ビンのフタは開いていて、ストローまで挿してある。ん?たしかリポビタンDって15歳以上じゃないと飲んだらいけないはず。丁寧にストローまで挿してあるところをみると、親から貰ったのだろうか。うちの親はまったくもう・・・。ここから俺のリポビタンD中毒は始まっていたのだ。
 うちの家族はみんなリポビタンDが好きだ。でもオカン曰く、毎日欠かさず飲んでるのは俺だけらしい。しかし先月から突然、俺だけリポビタンD(大正製薬)を飲むことを禁止され、代わりにチオビタドリンク(大鵬薬品)に格下げされた。格下げというのも、リポビタンDよりチオビタドリンクのほうが市価が1本あたり25円ほど安いのだという。月あたり750円の節約ということか。その浮いた金でリポビタンDをまた一箱買っちゃおうって魂胆か!でも俺はチオビタしか飲んじゃダメだってか!ちくしょう!!

 と叫んだのは昨日の朝クソをしてた時だ。クソをしてる時ってのは不思議と頭がよく働いて、恐竜並みのバカ脳の俺にも25円×30日分=750円という複雑な計算が出来てしまうのだ。昨日便所でクソをするまで、月々のリポビタンD代とチオビタドリンク代の差や「タウリンはどっちも1000mgやからね☆」というオカンの巧みな話術やそこに絡む心理作戦および「チオビタ差額→リポDで家庭円満♪(僕ぼっくり以外)」というキャッシュフローの構図などそのアメリカ政府的陰謀作戦がクソパワーによって暴かれ、俺は逆上しさらに激しくクソを便器にブチ込んだ。
 クソパワーはすごい。それまでにも、脳ミソの回転が良くなるクソタイムは有効に利用していた。中学生の時なんかには英単語の暗記のために便所の壁一面に単語ノートを貼りつけ、クソをひり落としながら「ハウドゥユドゥー」とかブツブツと呟いていた。おかげでテストの結果はまあまあ良かった。

 そんな話はどうでもいいのだ、今はハエを打ち落とすために空気銃のタマを探してるんだということをハッと思い出し、慌てて押入れをゴソゴソしてみたけど、部屋にはもうハエの姿はなかった。