北海道の秋鮭の血合いを塩漬けにした、塩めふん。
今までこんな究極っぽい珍味は知らなかったんだけど、趣味の通販酒肴放浪(宅飲みしながらネットで通販おつまみ探し)をしていて出会いました。
世の中には本当にいろんな珍味があるんですね。
呑んべぇの道を極めるべく「めふん」初挑戦しました!
お取り寄せした「めふん」はコチラ。
こちらは、北海道の根室でつくられている塩めふん。
めふんとは北海道に古くから伝わる伝統珍味で、オスの秋鮭の中骨にそって付いている血合い(腎臓・血腸)をていねいに削ぎ取って塩漬けにし、それを長期間じっくりと熟成させて作られています。
鮭の血合いと塩だけで長期熟成した、シンプルを極めたような珍味。
一尾の鮭から、さじ2~3杯分ほどしか採れない希少なものです。
元来は保存食として作られていたものなので昔は塩分が濃く辛いものが多かったけど、現在は冷蔵庫があり保存環境がよくなったおかげで、そこまで塩辛くないものが主流になっているそうです。
またビタミンB12や鉄分を多く含み、健康にもよい珍味として注目されていたり。
めふんの語源はアイヌ語の「メフル(腎臓)」にあり、漢字では「女奮」と書かれるのですが、なぜオス鮭の血合い(腎臓)が「女…」という漢字を充てたのかなぁ?
ちょっと疑問。「男奮」じゃないの?
メス鮭ではなくオス鮭の血合いを使うのは、メス鮭の血合いは分解酵素が多くて熟成させると液化してしまうからで、オス鮭の血合いは身が崩れにくいことから原料とされているそうです。
オス鮭のなかでも川を遡上中の鮭が良いとされていたり、千年以上の歴史をもつ珍味はその製法やこだわりについても奥深いですね。
ちなみに製造については鮮度が命といわれていますが、塩分のおかげか賞味期限は冷凍で1年・冷蔵で3ヶ月もあります。
最近は塩めふんよりもマイルドな味わいの「醤油めふん」というものも作られていて人気があるそうですよ。
ただ今回はその伝統の製法で作られる元祖めふん「塩めふん」を食します!
塩めふんが届いた!そのお味は?
はい、たくさん届きました。笑
このお店「さかなのデパート三栄」は、この塩めふん以外にもたくさん魚介系のおつまみが品揃えしてあって、酒肴好きにはたまらんお店なのです。そしてそんなお店だから、こんなマニアック(?)な珍味を取り扱っているんですね。
友人と数人で呑んだ日に、皆で食べてみました。
開封すると、内臓系の塩辛特有の熟成臭。
かつおの酒盗のような、生サバ塩辛のような…
香ばしく、すでに酒を誘ってくる。笑
こういう変わった珍味が苦手な友人もいたけど、ちょっとずつ分けることに。
この珍味のちょっとした説明をしてから、食べてもらう。
さて、お味のほうは??
皆の感想は…
「腎臓の塩辛といわれると身構えてしまったけど、食べてみるとクセもあまりなく食べやすい」
「見た目がコレなだけに強烈なものを想像したけど、イカの塩辛のイカの身以外を食べてるような感覚で、普通に食べられるわー」
「いやぁー見た目のグロさに反して意外にも食べれたけど、こういうの苦手なのには変わりないなぁ…」
「これ、ごはんに乗せても普通にウマいんちゃう?」
「やばい!これハマった!おかわりー!!」
「ちょ、日本酒はよ!!」
といった感想でした。笑
あらためて塩めふんをじっくり味わう。
皆で食べたときの感じからして、量はこれくらいで十分だということが分かった。
小さな盃に小盛り。
意外にも食べやすかったとはいえ、めっちゃ濃厚で味わい深い。
そして最近のは塩分も控えめになっているというけど、それでもしっかり塩辛いからです。
そしてこれを迎え撃つには、しっかりと辛口の日本酒がベスト。
この塩めふんの濃厚さに負けない、しっかりと辛口で主張のあるお酒がいいですね。
このテの主張の強いお酒ってトレンドじゃないのか、最近ちょっと少ないですねぇ。
さて、塩めふんと正面から対峙する。
なんともいえないグロテスクな見た目には、味を一度知っていても身構えてしまう。笑
言っちゃうけど、これ「女奮」じゃなくて「女糞」のほうがしっくりくるビジュアルやん。
だけど食べ物なんでね、さすがに「糞」とは付けられない、そんな感じで充てられた名前なんでしょう。
初見じゃないのにやっぱり一瞬たじろぎながらも、食してみると…
じゅるりと口に吸いこまれる塩めふん。
ゆるいけど、食感は無いようで有る。
生卵の卵白のような…
いや、本当のことを言うと…硬めの痰のような。笑
ごめんなさい一瞬で忘れてください。
味は、友人の言ったようにイカ塩辛の身以外の部分を、ほんのちょっと濃くしたような。
かつお酒盗のような匂いはあるものの、実際に食してみるとその臭みは味としては感じられない。
素直に言ってこれは、世にあるいろいろな塩辛の、旨い部分だけをうまーく集めたような、見た目からは想像できない旨さなのです。
だから、見た目のインパクトどおりの強烈なエグみ臭みの強い塩辛を求めてこれを食べたなら、もしかしたら物足りないと感じるかもしれない。
素直に、ただ旨いから。
でもね、旨みだけを表出させた塩辛だなんて、なんて贅沢なんでしょうか。
そしてその旨みをオスの秋鮭の血合いに見出した先人は、尊敬すべき天才的な呑んべぇーだったのかもしれません。笑
そして日本酒との相性は抜群でした。
この濃厚すぎるともいえる旨みを、真正面から受け止めるパワーのあるお酒。
これは酒好きじゃないと、あまり選んで呑まない酒でもあります。
でも酒好き肴好きじゃないと、まず「めふん」の情報に行きついていないですよね?笑
だから、これを見ているアナタならきっと大丈夫です。
良い肴に出会えた。
ここにたどり着いたなら、呑兵衛レベル「中級」の称号はもらってもいいですよね。笑
酒肴の世界は深けれど、それなりの深度にある珍味だと思います。
塩めふんを食べたら、醤油めふんも食べたくなってきた。
昔ながらの製法の塩辛って、やっぱり塩分が相当に濃いものが多い。
その塩分で酒を呑み、そして保存食としての役目も果たす。
今は優しい塩度になったとはいえ、やっぱり塩辛い塩めふん。
よりマイルドになった現代版めふんが醤油めふんだと言われたら、俄然気になってきます。
だからこれ、塩めふんと醤油めふんのセットを注文するのが正解だったのかも。
正直そのビジュアルからしてあまりハマる気がしなかったので、塩めふんだけを2瓶にしたんですが、次は塩と醤油を2瓶ずついこうかな。
塩とか醤油とかまるでラーメンの話みたいだけど、これマジで旨いですよ。