仕事を終えるともう終電のない時間になっていた。毎日のことなのだが、今日だけは早く仕事を切り上げて電車に飛び乗りたかった。今日、地元京都では同窓会が開かれており、どうしても行きたかったのだ。
この同窓会は毎月の恒例行事のようになっていて、まだ京都に住んでいた頃は毎回おれも顔を出し、みんなでヘベレケになって楽しんでいた。しかし大阪に転勤になってからは、毎日終電のなくなる時間まで働いており、どうしても仕事の都合をつけられずに欠席続きになっていた。
今日もそんな具合で終電に乗ることはできず、悔し紛れに、同窓会に行っているであろう友達に電話してみた。
電話がつながると、電話口の向こうはいつもの大盛り上がりで、話し声が聞き取れないほどだった。誰が出席しているのか聞いてみると、いつもの顔ぶれに今回は出席も珍しい同級生がかなり来ているようで、そのことに少し興奮し、そして淋しさも同時にやってきた。
みんな元気そうだ。最近彼女ができた奴がいるだの、ソフトドリンクを一気飲みさせられてる奴がいるだの、誰と誰が仲良しだの、誰が酔っぱらってウカレてるだの、そんな話を電話越しに聞きながら自転車をこいで自宅に戻った。
スーツのままソファーにどかっと崩れ込み、そのまま電話越しの同窓会を少し楽しませてもらったが、「みんなに電話回していこうか?」と聞かれたとき、「なんか照れくさいからいいやぁ」と答えてしまった。本当は残念がっている俺のテンションで皆を冷めさせたくないな、と思ったのだ。
そうして電話を切り、しばらくボーっとしていた。皆が俺の参加を楽しみにしてくれていたということを知り、素直に嬉しかった。