バカ魚

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 今日は春休み最後の日ってことで、ボーボと二人で琵琶湖に釣りに行った。京都市内でエサ用のエビを買い、インドネシアの民族音楽を聴きながら車でのんびり琵琶湖に向かった。琵琶湖で釣り=ルアーでブラックバス狙い、ってのが定番やけど、今日の狙いはブルーギル。超外道狙い。
 あれこれ考えなくても釣れるバカ魚を選んだわけだ。

 ほどなく到着。気持ちいい芝生のある水辺に荷物を降ろし、持参した瓶ビールでまずは乾杯。ぎんぎら太陽の下で飲む真っ昼間のビールはうまい。このうまさは仕方ない。ちくしょう。
 ぼちぼちと釣りの用意をし、ぼちぼちと釣り糸を垂れた。風ひとつないぽかぽか陽気のなかでウキを眺めてると、あまりの気持ちよさに魚なんてどうでもよくなってきた。車からジャンベを引っぱり出し、カンカンと叩いた。ぎんぎら太陽のおかげで打面の皮はほどよく張りがでてイイ音がした。ジャンベを叩きながらもウキが沈まないか見てたけど全く変化なし。

 ビールをぐいぐい煽りフラフラと水辺を歩き回りジャンベを叩き鼻歌を歌ってると、無性に魚が釣りたくなってきた。一向にウキに変化がないので、場所を移動することにした。

 着いたのは釣り桟橋。文字通り釣りのための桟橋やから、バカ魚くらいなら結構いつでも釣れる所だ。一番よさそうな所を陣取り、釣り糸を垂れた。ここでビールが切れて、だんだん眠くなってきた。おれは酒を飲んでる最中は何ともないのに、酒がなくなった途端に眠くなる。まぁ天気もいいし、釣れなくてもいいか・・・とか思ってるうちにちょっと寝てしまった。
 ハッと起きあがってウキを確認したけど変化なし。エサも針についたまま。ボーボも暇そうに鳥を眺めてた。周りの釣り人も全く釣れてないみたいで、あきらめてどんどん帰っていった。夕方になると俺とボーボの2人だけになった。ここできっぱり釣りはあきらめ、ジャンベを叩くことにした。

 琵琶湖に突き出た桟橋の上で寝転がって空を見ながらジャンベを叩いてると、視界をさえぎるものが全くなくてすごかった。ときどき鳥の群れがVの字に隊列を組んで飛んでいく。俺とボーボはそれぞれ好き勝手に叩いてたけど、だんだんリズムを合わせ、次第にリズムが早くなっていき、トランス状態でひたすら叩いてると、気付けば1時間経ってた。脱力した声でボーボが「帰ろう」とつぶやき、釣り道具を仕舞おうと釣り糸をあげてみたら、まだエビが付いてた。

 バカ魚にバカにされた2人は車に乗り、「バカ魚はもしかしたらエライ魚になったかもしれない」をテーマに大激論を交わしながら京都に帰りましたとさ。