憂鬱は大花火に散る

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 面接受けた会社、そこが第一希望の会社なんやけど、昨日までに電話がなければ不合格って事やったから、落ちこんで一人でジャンベ担いで山に登った。俺みたいな奴が3次面接まで残れただけで成果なんかなぁ、でも結局不採用なら1次で落ちた人と何ら変わらんよなぁ、もっと頑張らんと仕事見つけられへんなぁ、はぁぁぁ~。と、落ちこみながら森の奥深くへ。

 手頃な切り株に座って、ドコドコドコドコとジャンベを叩いた。人里離れた山奥で一人っていう状況は普通は淋しく感じるやろうけど、今の気分ではもっともっと人間から離れて一人になりたかった。黙々とジャンベを叩いてると、やたらと鳥が寄ってきた。下手くそやけど、山の木々のざわめきと鳥のさえずりとジャンベの低音を延々聴いてるうちになんとなく瞑想状態に入っていった。
 目をつぶってミニマルなリズムに包まれて気持ちいいなぁと思ってると、子供の声が聞こえてきた。見ると、犬の散歩にきた親子がいた。こんな山奥まで・・・!?子供二人とその母親と犬。その母子は俺とすこし距離をおいて座った。まだら模様の犬はしきりに俺に向かって唸ってる。

 すっかり音には入り込めなくなり、ゆっくりしたリズムを叩きながら子供たちが遊んでるのを眺めた。いつのまにか少し気分が晴れて元気になってるのが分かった。空は今にも雨が降りそうで、このままここに居るとジャンベの皮を濡らしてしまう事になるから急いで山を降りた。
 家に着いた瞬間、雨がザッと降り始めた。なんとか皮を濡らさずに済んだ。あの母子のことが頭に浮かんだけど、そういえば全員カッパを着てたなぁと思い出して安心した。

 部屋でしばらくボーっとしてると、電話がかかってきた。面接を受けた会社からだった。合格、との事。嬉しさのあまり飛び上がってしまった。まだ内定ではないけど、次回の社長面接が最終の4次選考になる。これをクリアすると内定。1日遅れの吉報に喜びのあまり友達に電話した。すると!!どんぴしゃのタイミングで大花火の音が聞こえてきた!
 国際会議場から打ち上げられる15分間ほどの花火をベランダから眺め、部屋に戻って一人酒してると、いい気分になってウトウト寝てしまった。