奄美路地裏衝突

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 目が覚めたのは朝の10時だった。頭が重い。それもそうだ。昨晩は4時まで飲んでいたのだ。
 カーテンのない窓にはおっきな空が広がっていた。天気も悪くない。今日は、きのう一緒に飲んだあゆみさんとドライブに行くのだ。そしてここは奄美大島である。

 起きた時間がすでに出発予定の時間だった。まだアルコールに侵されている頭をもたげて焦りながらバッグに必要なものを詰めはじめる。とはいっても、いつも俺の荷物は簡素で、カメラとウクレレと財布とメモ帳くらいのものだ。支度を終えたころ丁度、あゆみさんが車で迎えにきてくれた。
 あゆみさんも少し頭がまだ重いようで、昼過ぎに朝食を摂ろうということになった。それまでに俺は行きたいところがあって、まずそこに向かってもらうよう頼んだ。昨日借りたバイクのレンタル屋さんの近くに、いい感じの古本屋さんがあった。名瀬市街の奥のほうの路地のすきまにひっそりと立っていたその古本屋がずっと気になっていたのだ。
 車で向かうと、徒歩だった昨日の距離感とは違ってすぐ着いてしまった。路上駐車になるのであゆみさんには車中で待っていてもらい、いそいで古本屋に侵入、めぼしい写真集を物色する(こう書くと怪しいが…)。あった、あった。奄美大島関連の写真集を一冊ほしかったのだ。しかし豊富な奄美関連書籍のなかでどれを買おうか迷い、4冊ほど候補を決めて買わずに店を出た。路地とはいえ奄美の中心的な商店街で、交通量がけっこうあったので路上駐車が気になったのだ。候補のなかで第一候補は
奄美 ~神々とともに暮らす島~ 写真:濱田康作 毎日新聞社
であった。結局、この数日後にこれを買った。

 決まらなかった!ということをあゆみさんに伝え、さあ出発~と車をバックさせていると…
 ドカン!という音。後ろを見ると、脇道から出てきた車に後ろ向きにぶつかってしまっていた。すぐさまあゆみさんと俺は車を出て謝りにいくと、なんと…ぶつかっちゃった相手のおばちゃんは窓から「大丈夫大丈夫、ぜ~んぜん、ぶつかってないから!」と言うのだ。いやいや、あきらかにそのおばちゃんの車体は凹んでしまっているのである。と、そこにヨレヨレのTシャツ姿のおっさんが通りかかって「がははははっ、どうせならもっと強くぶつからなぁ!」などと言ってハラのあたりをバリバリ掻きながら通りすぎていったのである。
 うーん、そう言ってくれるなら、いいのかな。と、もうひとつ謝って、とりあえず車に戻った。いやはや、ここは陽気な南国なのであります。そのとき、俺の体内で即座にぐあぁっっ!!と「奄美好きボルテージ」が上がったのを感じた。
 そして、どかんと晴れた奄美の空の下で、ぶつかっても無傷だったコッチの車は、海にむけて走り出したのであります!

     奄美旅行記【完】!