家族には「のんびり釣り旅行にいこっか!」と言ってある。
だがしかし、僕ぼっくりの内心は「のんびり」ではない。
夜にはひとり宿を出て、ホンキの夜釣りをする計画なのだムフフフ…
そんな三重県北牟婁郡紀北町への釣り旅行の顛末書である。
(みえけんきたむろぐんきほくちょう…読めた??)
必殺エサ「サンマとサバの切り身」
ででん!これです。
サンマとサバの切り身を塩漬けにしたもの。
YouTubeとかでその魚の食いつきのよさを見ていたので、どうしてもやってみたかったのだ。
いちおう売られてるモノもあるけど、自作すれば安いしね。
まずはルアーなどを試してみて、もしダメだったらコレを使う。
作り方はカンタンで、
スーパーでサンマやサバを買ってきて3枚におろし(切れてるものを買ってきてもOK)、
小魚っぽく見えるよう斜め切りにして、
塩をまぶして出た水分を捨てるだけ。
使い切れなければ冷凍して、また次にも使えるそうだ。
いいぞ、スーパーの魚たち!
こんな感じで、旅行前から用意をちゃくちゃくと進めてきた。
もう竿に糸まで通してある、あとは現地で伸ばすだけだっ!
そうして特に気合いをいれている様子も見せないように、のんびり昼前に滋賀を出発したのであります。
漁港についたらすぐ釣り開始!
いつものように紀勢大内山ICで高速道路を降り、出口すぐにある「エサ市場えさきち大内山館」でサビキ用のアミエビ冷凍ブロックなどを買う。
ここは品揃えに過不足がなく、そして安くて、店員さんの雰囲気もとても気持ちがいい。
さらに隣がコンビニなので、弁当を買っていくにも最適なのだ。
紀伊長島方面に釣りにくるときは、ここに寄るのがルーティンになっている。
そしていつも行列の「大内山牛乳」にもタイミングよくスッと入れたので、濃厚なバニラアイスをいただきます!
牛だけど、うんまぁーーー!!
そして海に着くなり、まずはオトーサン(僕ぼっくりです)のホンキの仕掛け準備です。
いつもの釣具セットから、家族4人分の仕掛けをできるだけ手早く用意。
まずはサビキの竿を用意して…はい1本目…はい2本…
いきなり「釣れたー!!」とチョーナン。
ほぇ!?
えっ?まだエビ撒いてないのに?笑
なんとも幸先のいい、そして縁起のいいチャリコ(真鯛の幼魚)でしたー!
チョーナンご満悦。
すると「釣れたー!!」とジナン。
おっ!なかなか良いサイズのアマギ!
ジナンもご満悦である。
ムスコ2人の竿の用意ができたので、次はオクサマ。
オクサマと僕は、ジグヘッドで。
きのうYouTubeで見た、ジグヘッドにオキアミをつけて漂わせるヤツをやってもらうことに。
するとすぐに…「釣れたー!!」とオクサマ。
これは?フエダイ?
まあ何かわからんけど、おめでとう!
あせる僕ぼっくり、やっと自分の竿の用意だ。
って…ルアーやるんちゃうんかーーーい!
釣りたさのあまり、いきなり必殺ネタ投入!!笑
ちょっと切り身のサイズが大きすぎたかなーとか考えてるあいだに、ムスコたちのサビキが入れ食い状態になり…
無限に釣れるネンブツダイを外してリリースするのに…オトーサンいっぱいいっぱい。汗
でもいいんだ、今はこれで。
僕には一人夜釣りという計画があるのだからムフフフフ…
満足するまで釣っておくれ、オトーサンがサポートするよ。
オクサマがガシラを釣ったけど、うーん小さいね。
ずっとリリースばかりが続く。
そんな合間になんとかかんとか自分もジグヘッド仕掛けを投げる(サンマ切り身の)。
すると…
ヒット!でかい!!うぉー引く!!!
って、なんでやねーーーん!!
君かい!デカすぎやで君ぃ!
ダイソーの500円玉網がやっと活躍したのでした。笑
味のある民宿おおたに
今晩は、これぞ民宿!といった佇まいの「おおたに」さんに宿泊。
オクサマもムスコたちも、きれいなホテルなんかより人情味あふれるこういう宿が好きなので、僕の宿選びにはいつも賛成してくれるのがありがたい。
老夫婦のいとなむ年季の入ったお宿だけど、ちゃんと手入れをしてあり清潔である。
料金はめちゃくちゃ安いのに、伊勢エビや鮮魚のお造りもついてきた。
うんうん、フグしか釣れなかった悔しさはこれで忘れられるぞ。笑
見ず知らずの宿泊客みんなで食卓を囲むスタイルなので、抵抗のある人もいるだろう。
部屋にカギのかからない不用心さ加減を、許容できない人もいるだろう。
男女区別のない風呂がひとつだけという不便さが、無理な人もいるだろう。
でもまぁ、それが民宿の味というもの。
ウチはこれを楽しむ派だ。
疲れでみんなコテッと寝たけど、僕の枕元には釣り竿がスタンバイ。笑
アラームは午前3時。
すこし寝たら、いよいよ計画実行である。
オトーサンノホンキ
ドタドタドタドタ…バチャァァン!!
誰かが階段をおりて玄関の引き戸を勢いよく閉めて出ていった。
まだ午前2時。
そういえば昨晩の食卓で、夜に船釣りに出るってオジサンが言ってたっけ。
にしても、もうすこし静かに出ていけるだろうに…。笑
まあ共同風呂からタオル1枚で部屋まで戻るような人だから、そういう神経は持ち合わせていないのだろう。
それで目が冴えてしまい、なんかあと1時間だけ寝るのもなぁ。
ということで、僕ももう起きて釣りに出ることにした。
空気はピタッと止まっていて、海辺ならではの質量を感じる。
心地いい。
港につくとイカ釣り師が5人、港外へむけてヤエン仕掛けを展開している。
ずっと移動しない釣り方なので、港外に僕が竿をだすのは絶望的だ。
ということで港内をチマチマ探っていくとしよう。
またジグヘッドにサンマ切り身を…あれ?サンマは?
しまった、宿に置いてきてしまったではないか。
数分で取りに帰れるけど、もう目の前に海があるのだから…
よし、今度こそ生エサに頼らない釣りをする!!
1.5gのジグヘッドに2inchのピンテールワームをつけて…
まずは足元へ落とし込み。
…異常なし。
港内へキャスト。
表層…異常なし。
中層…異常なし。
ボトム…異常ありっ!!
くくくくっと小気味よいアタリ。
魚種がわからないので口切れせぬよう軽くアワセ、そして上がってきたのは…
ガシラかメバルか…と思ったけど、なんだこれ?
背ビレはアジっぽい、口もアジそっくり、けどゼイゴはない、体型はメバルっぽい、でも目が小さい…
うーーーーーん…わからん。
リリース。
(帰宅後に調べても分からなかった)
2gジグヘッドと3inchシャッドテールワームに変更。
港内を歩きながらちまちまと、キャストとスローリトリーブを繰り返す。
コツッ コツッ コンッ
きてるきてる…
なかなか乗らない……
グググッ!!
乗ったぁー!!
んん…いい引きだけど軽いー!!笑
揚がってきたのは、かわいいマゴチちゃんでしたー。
リリース。
常夜灯に照らされる海中には、小アジやカマスが渦巻くほどに泳いでいた。
カマス釣りたいなぁーといろいろ試すけど、なかなか釣れない。
乗合船「久勝丸」が出港準備をしていたので、いちおう船頭さんに「ここで釣りしててもジャマになりませんか?」と聞いてみた。
すると…
「釣りはしててもエエけどな、ゴミは捨てるなよ。糸や針だけやないで。上がってきた藻とかも捨てんなよ、とにかくちゃんとゴミ処理せえよ、ぜったい汚していくなよ、ゴミ捨てんなよ。ぜったいやぞ、ゴミ置いてくなよ。」
と、まるで今まさにゴミを捨ててるヤツに言うような口調で返ってきた。
僕はいつも糸クズひとつ落とさないよう釣りをしているのに。
少なくともサービス業に携わる者の口調ではないわ。
なんかそれで急にテンションだだ下がって、キャストするも集中力が乗らなくなった。
すると港外に向けてイカ釣りしていた男が、港内に放尿しだした…
…そこ、いま僕が狙ってるポイントなんですけど。。。
その男の首から提げてるヘッドライトがちょうど自分のサオを照らしており、対岸の僕にはそのサオときらきら光る尿の滝と泡立つ海面だけが浮かび上がって見えていた。。。
テンションが戻らないので宿に帰ることにしたのだが、なんだか足取りは軽かった。
なんやかんや言いながら、いちおう生エサにたよらない釣りができて満足していたのだ。
伊勢エビのお出迎え
まだ朝5時半なのに、オクサマもムスコたちも起きていた。
先ほどから急にジナンが咳込みはじめて、みんな目が覚めたのだという。
まあ今は落ち着いたところだというので、様子を看よう。
朝食をいただきに食堂へ行くと、昨晩の伊勢エビの赤だしが出てきた!
めちゃくちゃ旨い。
お、さっき釣れなかったカマス君もいるのかね。
腹パンになるまでメシをかきこみ、ちょっと一息。
食堂を出ると、晩にいっしょに食卓を囲んだオニーサンがハーレーで出発するところだった。
「かっこいいーーー!!」と声をあげると、乗っていいよ!と。
ジナンが「乗りたい!!!」と言って、またがせてもらった。
ちょうどヘルメットみたいな髪型やから良かったな。
そしてオニーサンは、いまこのあたりで開催されているという年に1度のハーレー乗りの祭典に向かってドロロロロロロ!!!!!と轟音をたてて出発していった。
かっこよかったなぁー。
さあ、我が家の釣りもいよいよ終盤戦。
漁港に着くなり、いきなりオクサマが胴突き仕掛けでまたフエダイ?とガシラを釣り上げる。
…早くない?
ガシラは大きくもないけど昨日のほど小さくもないのでキープ。
昨日はアマギ1尾しかキープしてないからね。
フエダイか何か分からんやつは知識不足なので、元気なうちにすぐリリース。
なんか形はイサキっぽくて食えそうなんだけど…やっぱり調べてから持ち帰らないと、無駄な殺生になっちゃうし。
それにしても、仕掛けさえセットすればあとは自分たちだけで釣りできるようになってくれたのは嬉しい。
以前ほどは手がかからなくなった。
みんな自分で釣ってるっていう満足感もあるみたいだし。
ちなみに夜に僕がいたのが軽トラのあたりで、オクサマの立ってるあたりが小便小僧ポジションです。笑
もうその小便イカ釣り師たちは居なくなってたし、よかったよかった。
ん?
ジナンがなにか静かに格闘している…
それけっこう大物やで!なになに!?
…でんっ。
また君かーーーい!!
それにしても…ジナンなんでそんなに冷静なん?
昨日これ釣って騒いでたオトーサン、ちょっと恥ずかしくなるよ?
いずれ自分でどんどん大物にチャレンジしてくれる予感がプンプンするのだった。
そして天使は舞い降りた
日が高くなってくると、だんだん釣り人は帰っていって、ほぼ我が家だけになった。
我が家もアタリが遠のいて、まったりムードになっている。
チョーナンはブラクリ仕掛けにサバ切り身をつけて、カニを釣るのにハマった模様。
カニと遊ぶには良いサイズだけど、今回用意したサンマとサバの切り身はもうちょい小さく薄く切ったほうが良かったかな。
ちょっとデカすぎ厚すぎで、小さな魚は食えないし、大きな魚でもなかなか針がかりしにくそう。
改善の余地あり、っと。
のどかな時間がつづく。
たまにイカ狙いのエギンガーが来ては、何投かしてすぐ帰っていく。
そんなに望み薄なのかぁー、いちおうエギ持ってきてるんだけどなぁ。
まあでも時期的にもうアオリイカ狙いも終盤だし、エギング納めしておくか。
そう思って手にしたのは激安エギ2.5号、どこと狙いもつけずにテキトーに投げてはシャクる。
投げてはシャクる…ん?
キターーーーーーー!!!
2投目にして、胴長15cmアオリイカをゲット!!
はいっ!エギング終了!全員集合!!
すぐに食べます!!!
(これやからいつも1杯止まりやねん)
呼子イカの姿造り並みのウマさ、味わわせちゃるけん!
冷蔵庫で1日寝かした甘さやネットリ感もいいけど、僕はこれが一番好き!
ウマいのが分かってるから、ぼっくりニヤつきが止まりません。
「ウマーーーイ!!」と歓声をあげる我が家。
ふりかえって唖然とする釣り師たち。笑
ホントの釣れたてを味わえるのであれば、2杯目はいらない。
…うそです。
食べ終わったらやっぱり2杯目を狙ってみたけど。
もう釣れなかったなぁ。
これはタカノハダイ。
ゆるい釣りしかしていない我が家にはキホン外道ばかりなんだけど、これで十分楽しいんだよなぁー。
外道がメインなのです。
ほら! オクサマが外道の王様「ベラ」を釣りあげた!
いちおう食えることは知っていたので、けっこうデカイしキープすることに。
これでキープは、アマギ1・ガシラ1・ベラ1、計3尾になりましたー。
外道一家らしいクーラーボックス内の光景だこと。
そろそろお昼ごはんの時間なので、釣り具をサクッと撤収する。
愛用のコンパクト釣具たちは撤収も早くてイイわ。
チョーナンは「みんなありがとう!」と、いっぱい遊んでもらったカニたちにお礼をしていた。
念願の道瀬食堂
すんなりと撤収を受け入れてくれたのは、このあと「道瀬食堂」で石窯ピザを食べる予定にしていたから。
ここは我が家の大好きな「民宿あづま」のご夫婦がいとなむ石窯ピザ屋さん。
民宿には泊まったことがあるけど、お昼のピザはまだ食べたことがなかったから、今回これも旅の楽しみにしていた。
とくに連絡もなく訪れたけど、ちゃんと覚えていてくれて嬉しかったなぁー。
奥でモクモクしてるところが、お手製の石窯小屋。
宿泊したときに見たけど、窯を熱するのに数時間かけて薪を焚いてた。
民宿でもあるから、朝・昼・晩と、ずっと食事を作り続けてくれているわけで。
なんか頭が上がらないわ、そのバイタリティを尊敬。
さあ、焼きたてホカホカです!
「ローストチキンのピザ」
「ビスマルク」
そして僕がいちばん感動したのは、
「オイルサーディンのピザ」
もう身悶えましたね。
美味すぎた。
「ウインナーのピザ」
美味すぎて夢中になってるムスコたち。
…おわかりいただけただろうか。
「道瀬食堂」はぜひ行くべし、ということです。
満足げに海をながめるチョーナン。
ただ満腹で動けないだけ。
釣ったら食う
事故渋滞やら何やらに巻きこまれて時間がかかったけど、帰宅してまだ魚を捌く気力があった。
よし、釣った魚をすぐ食べよう!
上から、ガシラ・ベラ・アマギ。
これがなんと…
めちゃんこウマかったのです!!
オクサマの釣った、見た目のいちばんグロい「ベラ」がとくにウマかった!!
ベラって鯛なんですか!?ってくらい。
これは「キュウセン」っていうらしく、ベラのなかでも特にウマいんだって。
やったぜ外道一家!
ベラは鯛の味、アマギはアジの味、ガシラはもちろんガシラの味でした☆☆☆
大満足の三重県釣り家族旅行、完!