
天気のいい11月の週末。
ガッ!と準備し、バッ!と出発した。
目指すは日本海、小浜新港へライトゲームをしにいこう!
唐突に思いついて海へ
ジナンのサッカー大会が思っていたより早く終わり、すこし時間ができた。

そうするともう、僕ぼっくりは釣りに行きたい早く行きたい海へ行きたい行きたい行きたい!
「釣り、いく?」と家族に聞いてみたら、
「んー今日はいいかな。」ということで…
突如としてスタートした、無計画の単独釣行であった。
無計画だが、いつでも出発できるように釣具一式はいつも準備万端である。
それをガッ!と積んで、バッ!と出発だ。
あっちゅーまに小浜新港
好きな音楽聴きながら進んだら、あっちゅーまである。
到着した。
待てない…もう待てない!
夕まづめ手前の16:30頃、日はかなり傾いている。
ライフジャケットのポケットには釣具一式が仕込んであり、ロッドにはリールをセットして、ラインも通してある。
いつだってすぐ釣り開始できる状態にしてあるのだ。
堤防の先っちょ付近は混雑しているが、根元あたりはまだ空いていた。
ひとまず7gのメタルジグをセットして…いざ!
投げる系の釣り師がいないスキマに入らせてもらって、はやる気持ちを抑えられないままキャスト!
着底。
ちょんちょんトゥィッチ。
カーブフォール。
ちょんちょんトゥィ…きた!!
あまり引かないが、海面まで浮いてきた細長い魚影…カマスか?
ちゃう、エソや~!

まぁまぁ、最初はこんなモンやね。
そう、ここからやね。
そやね、がんばろ!
外道の代表格のようなエソだけど、最近ちょっと食べてみたいなーと思ってたのでキープ。
ちっちゃなクーラーボックスに放り込んだ。
…のちにこの判断に、かろうじて僕のプライドは守られた(?)のであった。
ちょっとまて
秋ってさぁ、一年でもいちばん釣りやすい時期のハズやんね?
あれ?…あれぇ??
あれやこれやとルアーを変えて探るものの、たったひとつの生命反応もなくなった。
じりじりと時間だけが過ぎていく。

目尻つりあげて海面ばかりを睨んでいたが…はっ!
僕としたことが…
こんなにイイ景色に気付いてなかったやんけーーー!!
ダメだダメだ。
釣りの楽しみって釣果だけじゃないんよ。
海なし県に住んでいる者としては非日常の「海」を楽しまなきゃね。
ちゃんと目を癒やして、心癒やして、しずかに潮騒を聴く。
僕にとってはコレも含めて、釣りなんだからーー。
そう心に留めて、静かな釣果にもなんとか納得しようとしていた。
まぁ…夕まづめは…エソだけか。。。
いいやんエソ、ちゃんと魚やん。
過去にはウミケムシしか釣れんかった時もあるんやから。
そう自分に言い聞かせて、車のなかでビール飲んでスルメかじって寝たのでした。
夜だか朝だか
なんだかんだと、この釣果には納得がいっていないのだろう。
夜だか朝だか一番わからない「3時」に目が覚めた。
3時ってホンマ微妙だよな、夜だし朝だし。
まあ目が覚めた以上「朝」ということにして、活動開始だ。
堤防に歩いていくと、なんと誰もいなかった。
せっかくだから先端に位置取る。
まだ暗いうちはグロー系のシャッドテールワームでボトム付近をスローに、そしてせっかく独占なので広く探っていく。
3:30…4:00…4:30…5:00!…きた!!
モゾッと違和感があり、ひと呼吸おいてアワセ、生命反応!!!
やっときたー魚の引きだーー何だろう何だろうーーーフッ…
あ……
外れた………
5:30…6:00…
1組、2組、3組とどんどん人が増えてきた。
となりに入った若者グループと挨拶を交わして情報交換したり、たまに先端を交代してゆずりつつ。
それでもせっかく3時から場所確保したので、できるだけ朝まづめは堤防先端で釣りをしたい。
でも釣れないなぁ、誰も釣れてない。
それでも朝まづめが終わるまでは諦めないぞ…という気持ちで頑張っていた。
誰だおめぇ
7:00。
となりの若者グループも、あまりの反応のなさに撤退してしまった。
でもせっかく来たんだから「9:00まで頑張る!」そう決めてキャストを繰り返す。
ぼんやり明るくなってからは15gのメタルジグを中心にSLS(スーパーライトショアジギング)でサゴシ狙いの早巻きを織り交ぜて。
7:30頃に明確なアタリ!
だがコチラに走ってきてるのか?
フッキングがうまく決まらずに軽く口に引っかかっている程度だったのか、すぐに重みは抜けてしまった。。。
またバラシか…
落胆と少しのイラダチを抱え、まだだと諦めずにキャストしようと振り返ると…
…なんか黄色いヤツがいた。

おっと危ねぇ、真横に入るなら声くらいかけてくれよ。
吐息すら聞こえそうな1mとなりに静かに入られていて、さすがに後ずさった。
短めの竿を好む僕でも、2mはある。
手の届くほど近くに入られると投げられんじゃないか。
ナンダコイツハと思いながら、休憩するフリをして様子をみる。
なんだかイヤだけど、同じロッドであった。
エギを投げておる。
着底が分かってないな、糸フケが出つづけておる。
いや出すぎやろ、横にラインが15mくらい流れてるのに、2分以上経ってもまだ着底を待っている。
とっくに着底してるって!はよシャクって!
…お、シャクった!
いやいやいや、糸フケ取らんままシャクってどうするん!!
いろいろ思うところはあったけど、あくまで釣りは人の趣味なんでツッコまない。
まもなくエアノットで手こずりはじめたので、僕がキャストする。
悔しいけど海からの反応はない。
なんかとつぜん横入りしてきた黄色くてよく分からんヤツに「釣りとは」を見せてやりたくもあったが、考えてみたら僕も「釣りとは」を誰かに教えてほしいくらいのレベルなのであった。
あ、また黄色いヤツがキャストした、僕の顔の横を「ぶん!」とエギが通過する。
どんなねじれたキャスト姿勢やねん!なんで右投げやのに左側にいる僕の顔の横をエギがかすめるのか!!
ぜんぶ意味が分からん!!!
そしてまた…すでに着底しているエギの着底を延々と待っている糸フケがこちらに流れてきて…
当然からむライン、僕はもう釣りにならないとルアー回収のためにリールを巻く、それをアタリだと勘違いして僕のルアーにアワセをいれる黄色いヤツ…
「…あのな。」
さすがに言ってしまったわ。

僕は夜3時から場所を確保した。
あくまでマナー上は「先行者優先」であるが、釣り場は誰のものでもなく皆のもの。
だから誰もが気持ちよく共有できるように、コミュニケーションをとるのが普通である。
まず挨拶をし、釣り好き同士ならではの情報交換「最近どうっすか?」をやる。
釣りは人それぞれに狙う魚種も仕掛けもさまざまだから、コミュニケーションのなかでお互いが気持ちよく納得いくように適した場所をゆずりあう。

1mの距離で、無言はない。
まあ明らかに初心者だということは分かった。
でも人と人とのコミュニケーションに、釣りの経験値は関係ないよね。
多くは言いたくないけど、最低限の声かけは必要だと思うんよなぁ。
普通に考えて、という範囲の話ね。
こういうフラストレーションを抱えると、もうその場で釣りを続けたくなくなるので、ひとまず車にもどってメシでも食うことにした。
ここではない何処かへ…

いつものマカロニ食、レトルトカレーをかけて。
そして「ここではない何処かへ行こう…」なんかカッコいいやん。
もう黄色いヤツを視界に捉えたくないだけなんやけどね。
しばし考えて「食見」のほうへ向かうことにした。
車を走らせること約30分、ここには「福井県海浜自然センター」という小さな水族館がある。
その先には遊歩道で渡れる地磯がつづいていて、そこそこ足場もよく釣りを楽しめるのだ。

もはや何が釣れてもいい、いや、何か釣れたらそれでいい、そんな気持ちになっている。
そして磯といえばなんとなく「魚影が濃い」ってイメージあるじゃない。
もうそれに賭けようと思うの。。。

おぉ…磯らしい、なんとも生命感のある岩肌!!
だってアレでしょ、この突起のひとつひとつが貝で、ぜんぶ生きてるんだからさ。
もう貝がいるんだから魚だっているだろ!っていう根拠も責任もなにも説明できないフラフラ感だけで釣りしてやるんだ。

たぶんそんなフラフラヒラヒラした奴には命のひとつもくれてやる道義はないと自然界に判断されたのだろう。
ルアーを沈めると根に引っかかる、だからとビビって浮かしてると何も反応してこない、だからって沈めると引っかかる、引っかかりたくないから浮かすと何も…
そんなことを繰り返してるだけで、一体もう何をしてるのか分からなくなってきた。

雑魚釣り師ぼっくりには、磯はまだまだ早かったのだ。
お気軽な堤防で黄色いヤツらとチマチマやってるのが丁度よかったんだね。
おのれの力量をしっかりと悟り、また水族館あたりへ戻ってきた。

海岸にへにゃりと座り、目の前にニョーンと伸びた堤防を見つめ、あぁ僕の釣り場はきっと堤防なんだなぁと再確認。
潮よし波よし足場よし!
いや、もう挫かれた闘志は戻ってこなかったんだけどね。
しばし海を眺めて、帰路に就いたのでした。
エソは美味いぞ
不本意ながら獲物は1投目のエソ「のみ!!!!!」という結末。
いや、これをバッドエンドと捉えたくない。
まずボウズじゃないしね。
エソは美味いと聞いたことがあるので、しっかり調理してみることにした。

ひとまずウロコを落とし、腹開きにする。
3枚におろす。

もう刺身で食えそうだけど、小骨が多くてすり身や練り物にされてきた歴史を尊重して、つみれを目指すことにした。
包丁でトントントントンとたたいて、小骨たちのチクチクを無効化していく。

たたいている最中も身のネッチリ感があり、これは面白いぞーと期待ふくらむ。
それをさじで鍋に投入して、いよいよつみれ化させていく!

たった1尾分のエソの身を、大事に大事につみれにしていったのでした。
4人家族で8粒、ひとり2粒!

あまりの少なさに「鍋もいいねー」なんて言ってた気持ちが吹っ飛ぶ。
ほかに具なんてあったら、もはやかき消されてしまうわ!
なので、大事に大事に2粒だけ…
庭のネギをとってきて少し添え、おぼろ昆布をすこーし浸して…

いただきます、はむっ。
…うんま。うんま!
もっちり、ねっとり、じんわり、こっくり。
旨味がしっかりあって食感もよく、コクの余韻がずっと残る。
たった2粒ですぜ?
いやマジメにホンマに、エソのこと外道って最初に言ったやつにドロップキック喰らわさなあかん。

この日から我が家ではエソが「本命」に昇格したのでした。
エソは美味い、これは本当!