年越し釣り車中泊旅2日目。安住の釣り座をもとめて彷徨う。

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串本の朝日を浴びる

12月30日の朝を、本州最南端の串本で迎えた。

ワクワクのおかげで朝5時に起きたものの、外はまだ真っ暗だった。

しばし車中でくつろいでから漁港に出る。

暗いの寒いのイヤなんやもん。

まあそんなこと言ってたら釣人は務まらん、というかホンマに務まってないわ。

だから万年雑魚釣り師なんだ、いいじゃないか。

ガチ釣り師のパイセン方は夜中からずっと竿を出していて、十分な獲物をゲットしている様子。

それでも「最近はちょっと渋いねー」と言っていた。

大丈夫、僕はずっと渋い。

だから気負わずやろう。

ここら一帯にはパイセンたちの置き竿がずらりと並んでいて、空いている場所をさがしながら堤防をすすむ。

堤防の根元あたりは電柱と電線があって仕掛けが絡むので、このエリアはぶっこみ釣りの竿が出ていない。

僕のルアー釣りならサイドスローすれば問題ないし、このあたりから始めよう。

ロッドはお気に入りのベイミクス、リールはダイワ23レグザLT2500にPEライン0.6号リーダーフロロ12lb。

ダイソージグヘッド10gになんともアンバランスな2inchシャッドテールという組み合わせで。

もうちょいバルキーな3inchがバランスいいだろうに…

まあいい、またこんど用意しとく。

 

朝日にむかってエイヤッ!とサイドスローをぶちかます。

…と、

トトトトトンっ!と小気味のいいアタリにアワセて揚がってきたのは、おなじみ小型オオモンハタ。

もういっそ【コモンハタ】と名付けてやりたいが「オメーが雑魚釣り師だからだろ!」と小型オオモンハタさんが怒っている。

そうだな、すまない。

名のとおり、大きな紋のさまが美しい。

うっとり見つめさせていただいて、ゆっくりとリリースした。

 

その後はアタリもなくなったので、そそくさと車にもどる。

ワクワクしていた割にあきらめは早い。

サッポロ塩らーめんが呼んでたからね「ごはんよー」って。

まあ今から作るんだけど。

モヤシたっぷり茹でて、昨晩の残りのキムチを入れて、チゲ風ラーメンで温まろう。

はい温まる。

もうこんなビジュアル、食べる前から温まるわ。

フハフハフーいいながら体にスープを染みわたらせ、キムチの辛みを舌で弄びながら、腹をあたため満たしていく。

 

ラーメンを食べ終えたら、モヤシのナムルをば。

貧乏学生だった頃から、僕はモヤシと仲が良いのだ。

いよいよ本腰いれて空気を暖めはじめた太陽をあびつつ、今日の予定を考えた。

串本もいいけど、やっぱり他にもいい場所がないか探ってみたい。

魚がよく釣れる堤防で、なおかつトイレが近いところ!

釣り車中泊ではマストな条件、これを叶えてくれる場所を探そう。

 

安住の釣り座をもとめて

串本港も条件がそろっていて良かった。

潮通しがよく水深もあり狙える魚種も幅広いので、人気の釣り場なわけだ。

だがなんというか、いまの気分としてはもう少しひっそりとした場所にいきたい。

点々とある漁港に寄っては竿を出してみて、安住の釣り座をさがしてみよう。

そう思って、ココからまた紀伊半島を時計回りに進むことにした。

 

最初に立ち寄ったのは、潮岬のちいさな漁港。

うん、良いひっそり感!

トイレはないので釣り車中泊には向かないけど、ひとまず竿を出してみたい。

水はすこぶる綺麗で、かなり遠くまで海底が見える。

水深はさほどなくて魚影などもないが、根魚などは狙えるかな?

 

ホッグワームのテキサスリグに掛かってくれたのは、小型のアカハタさん。

美しい…さかなってホンマ美しい…。

大きくなって、また僕の針にかかっておくれ。

 

また次の漁港へと小移動。

地元のオジサンが釣り糸を垂れてるのを眺めていたが、あまり反応はなさそう。

しばらくすると帰り支度をはじめていた。

ここも透明度が高い。

さすが潮岬というだけあって潮通しバツグンなのだろう。

だが魚の反応はなく、かわりに腹がウンコの反応をみせはじめた。

次の移動先はトイレだな。

本州最南端のトイレで用を足し、しばし海をながめる。

薄ぼんやりとした太陽はそれでも十分に空気を暖めてくれていて、そして黒潮がまたさらに暖めてくれる。

ここ和歌山は週間天気でも日中15℃以上の予報がつづいており、年の瀬とは思えない快適さだ。

 

断続的にこのあたりの町内放送で、

「明日の大晦日、○○と□□の空き地は臨時駐車場になります」

「地元の人たちはなるべく車は乗り合いで、台数を抑えるように協力を」

といったことを呼びかけていた。

どうやらココには大勢の人々が、初日の出を見ようと集まるらしい。

それを知ったらなんだか早く逃げないといけない気がして、小走りに車にもどって出発した。

 

行けども行けども

和歌山の海岸線はいろんな表情があっておもしろい。

磯に砂浜に堤防にゴロタ浜、たくさんのアップダウンと松林をくぐって進む。

この気温なので少し窓もあけて、海風を感じながら。

つぎに立ち寄ってみた堤防にはまたトイレがなかった。

となりの大阪ナンバーの若い夫婦に「釣れますかー?」と聞いてみたら、「いやーどこで何が釣れるかまったく分かってなくて…適当にルアー投げてます。」と返ってきた。

おぉ…これは雑魚釣りの同志ではないか!(失礼)

しばし談笑し、3投ほどしてまた次に進む。

ココは仮設トイレがあった。

地形もなんだかオモシロく、岩山のむこうに抜ける隧道もあってワクワクさせてくれるじゃないか。

トンネルぬけ~て~~♪

とつい口ずさみながら通った先には…

おぉ!!

いい感じの磯!!!

先客もいるね、きっと雑魚釣り師じゃないパイセンだ。

ナヨっちい僕はやっぱり、足場のいい堤防がいいや。

隧道をひきかえして堤防まわりをワームで攻めてみると、すかさずアタリ!

だがすこし油断していて、根に潜られてしまった。

きっとこの引きの感じは、コモンハタだろうと思う。

しばし待ってみたけど根から出ることはなく、あきらめざるを得なかった。

 

また場所を移していくと、足場のとても高い堤防があった。

ここで大物が釣れても僕のタモ網じゃあ届かないなぁ…と思いつつもルアーを投げてみる。

すると…モゾッとしたアタリがあり、鋭くアワセをいれた。

おぉ!よく引く!!

重量感こそないものの、めちゃくちゃ元気なヤツが掛かったようだ。

しばし格闘し引きを楽しませてもらいながら、堤防のうえまでヨイショ、ヨイショと引揚げたのは…

ん?なんだこれ?

なんかコイみたいだな。

誰か分かる人いるかなーとで聞いてみたけど反応を待っていると魚が弱るので、しばし見つめてからリリース。

ちょっとやっぱりココは足場が高くて釣れても難儀するので、また次に移動することにした。

移動中にコメントが入っていたが、あの魚は「オジサン」らしい。

あ!なんか聞いたことある!

たしか奄美大島で塩焼きを食べたような。

さすが黒潮の海だなぁ、南国っぽい魚までいてワクワクさせてくれるじゃないか!

次の堤防はちょっと水深もなくて厳しそう。

気合いの入ってるパイセンたちは、浅瀬をわたって沖磯にのって釣りをしてるみたい。

地図上で見たかんじ良さそうだなーと思っていたけど、駐車場所もあまり定まってないし何より釣り客を敬遠している雰囲気があったので、次に移ることにした。

 

なかなか安住の釣り座は見つからないのだ。

そうこうしているうちに、日がすこしづつ傾きはじめていた。

 

海を望む湯

進んでいくと「道の駅すさみ」が見えてきた。

そうだ!この道の駅には温泉があったはず!

車中泊旅ではお風呂さがしも重要だからね。

道の駅すさみに隣接したホテルの大浴場が別館になっており、日帰り入浴もできるのだ。

 

だがしかし…GoogleMapで見たところ[非常に混雑しています]との表示。

むむむむ…

そもそも僕は公衆浴場というのが苦手なうえ、さらに混んでる…だと?

裸の男たちが芋洗い状態だなんて最悪じゃないか。。。

とはいえ、どっちに進むかも決めていない釣り車中泊旅、次にいつ風呂と巡りあえるかなんて分からない。

駐車場でしばし考えたが、意を決して、非常に混雑している風呂にむかった。

 

望海のゆ

「ぼうかいのゆ」だと思っていたけど「のぞみのゆ」と読むんだって。

エイヤッ!と飛び込んだ浴場には、なんと僕を含めて3人しかいなかった。

しかも1人はもう出ていくところだ。

なんの情報だよGoogleよぉ、マジでやめとこうかと考えこんだ時間はなんだったんだよ。

 

2日ぶりにカラダを洗い、露天風呂に浸かった。

ちょうどいい湯加減だ。

名のとおりドーンと海を望む湯で、磯にくだける潮騒のなかでたゆたう。

こんな最高の湯にいま、たった2人だぞ!

優勝である。

 

風呂からあがると、脱衣所に突如として大量の人がなだれ込んできた。

なんだ急に!

急にたったいま、非常に混雑しています状態に突入したじゃないか!

フフフ…と心のなかで一瞬笑ったが、直後に(あぶなかったー!)とゾッとしながら浴場をあとにした。

 

さあどっちに行く?

風呂できっちり整った僕は、どっちに進むかを考えこんでいた。

このまま進んですさみ漁港のほうにも行ってみたい。

がしかし、そろそろ夕食のことを考えないといけない時間帯に、初日のようなさみしいスーパーしかなかったら困るなぁ。。。

なんとなく「すさみ」という言葉に引っぱられて、どこか心のなかで「すさんでいるんじゃないか…」と心配している自分に気がついている。(失礼)

すさんでいなくとも、串本ほど栄えてはいないだろう。

串本に戻れば、他にもっと大きなスーパーがあるのは確認できていた。

戻るのが安全だ。

 

(これを書いている今となっては、このときの選択をすこし後悔している。)

(せっかくまとまった日程の旅なんだから、もっと知らない場所に進めばよかったのだ。)

 

点々と寄り道しながら進んできた道は、まっすぐ帰るには1時間足らずの距離であった。

だいぶ光量の落ちた串本の街は、帰省客も多いのであろうか、主要道路はなかなか混んでいる。

おかげでゆっくり街のことを観察しながら進むことができた。

大きなスーパーが見えてきた、今日はここで夕食を買うぞ。

 

三重や和歌山でよくみる「オークワ」というスーパーマーケットチェーンは、安定の品揃えでとても良い。

とくに年末ということで、おせちに入れるような高級食材がところせましと並んでいた。

刺身を買うには、ちと遅かったか…

なるべく地元の魚を選びたいなーと探しあてたのは、けさ勝浦漁港で水揚げされたびんちょうまぐろのブロック。

もう残りわずかなお刺身コーナーで、これがひときわ輝いていた。

このあと他のスーパーにも2軒ほど寄ってみたが、オークワがいちばん良かったよ。

 

さあ次は寝床である。

はやく今晩の車中泊地をきめて、早くびんちょうまぐろで一杯やりたい。

 

旧串本港の横にある町立武道館のわきにはトイレのある公園があり駐車場もあるので、そこに停めてしばし様子をみる。

だがなんとなく、2m超ある防潮堤に遮られて海が見えないのがくやしい。

せっかく海辺にいて、海が見えないのはくやしい。

僕ぼっくり、ずっと海から遠いところで生まれ育ってきたので、海への憧れはものすごく強いのだ。

 

サイコオォォの晩酌

車をヨタヨタと進めると、橋杭海水浴場というビーチの端に駐車場があった。

トイレもある。

ここだ!と直感し駐車場に入ると、ちょうどいちばんいい角地の駐車スペースから車が出ていったので、そこに陣取らせてもらった。

 

ふるえる手でおもむろにクーラーボックスからびんちょうまぐろを引っぱり出し、アテにする白菜浅漬けを配置したら…

もうガマンできないプシッ!!

ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ…

乱暴なひとり酒宴のスタートである。

けっして珍しくはない普通のびんちょうまぐろだが、昨晩のガッカリ晩酌があるのでヨロコビひとしお。

ビールをあおりながら、サイコロ状に切り分けていく。

切った瞬間からそれを醤油につけ、口に放りこむ。

もっちりしていて旨い、旨いぞ!!

ヨロコビのあまり手はふるえ、ピントはまったく合っていないな。

 

血合いの部分は味噌で炊いてみることにした。

自分のうどん屋で年末にあまったネギをふんだんに使っていく。

モヤシたっぷりネギだく、まぐろ血合いの味噌煮込みだ。

くつくつと炊かれていく横で、サイコロお刺身をはむはむ頬張りながらビールで流しこむ。

そこそこに火が通ったので、血合いも食べていく。

これまたウンマい!!!

ザクッザクッと歯ごたえがあり、じんわりとレバーのような旨みがにじみ出てくる。

スープにはマグロの脂がうっすら浮かび、旨みが野菜たちにも染みこんでいるじゃないか。

 

旧型セレナのリアハッチを開け放って突如として乱暴にはじまったひとり酒宴は、もういきなりカンペキかつサイコオォォ状態に達している。

12月30日だというのに19時前の屋外はほんのりと昼の陽気をのこして暖かく、完全にリラックスして呑み進めていける。

氷をこれでもか!と詰めてきたクーラーボックスのビールはかなりキンキンに冷えているのだが、それでもカラダが冷えていく感覚はなく、むしろこの暖かさのなかですこぶる心地よい。

旨いし美味いしウマイし暖かいし心地よいしで、もうなんも文句ないし!サイコオォォだしぃ!

 

天を仰ぎながら、ひとり酒宴はすすむ。

おまけに公衆トイレの便座は温かいタイプだった。

サイコオォォ☆☆☆